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2017-05-10

「キレる高齢者」という偏見

3月21日の朝日新聞「声」欄に、中学生による「『キレる高齢者』にどう対すれば」という投稿と、高校生による「お年寄りはなぜ病院に集まるの」という投稿が掲載された。

高齢者に限らず「キレる」人は怖いので関わらないに越したことはないし、高齢者が病院に集まるのは病気だからに決まっている。

この二つの他愛ない投稿に、52通の反響が寄せられ、うち4通が4月26日の「声」欄に掲載された。

当然、誰か1人くらいは「高齢者がキレやすいというのは偏見です」と言ってくれるだろう思ったら、なんと4通すべてが「高齢者はキレやすい」という前提で意見を述べていた。

それぞれ、「つらいんです 高齢になると」(73歳女性)、「苦労した私たちを大目に見て」(85歳女性)、「自分失う恐怖との闘いなのです」(74歳男性)、「迫り来る『死』が根底にある」(86歳男性)とのご意見。

これらはすべて主観にすぎないのに、高齢者代表であるかのような語り方はいかがなものか。

今日の朝日新聞「声」欄には、これら4人の投稿に対する、「高齢者がキレるのは、『寂しさ』からではないかと思います」(21歳女性)、「病院に併設のコミュニティスペースがあれば良いのにと思いました。高齢者は出歩く機会が減って、人との交流が少なくなることで、孤立しやすくなります。(中略)一人で抱えるイライラも、共有し合えば穏やかに笑って過ごせるのではないでしょうか」(29歳女性)、「老年期は寂寥感が積もるばかりで、若い世代が楽しく元気に生活しているように思える。だから、若者のちょっとした言動にも激しく感情的な言葉が出てしまうのではないか」(60歳女性)という意見が紹介されていた。

高齢者は寂しい、高齢者は孤立している、高齢者はイライラしている、挙句に高齢者が若者に嫉妬している?

「年をとると性格が丸くなる」とか、「好々爺」というイメージもあるはずなのに、最近は高齢者に対するネガティブなイメージばかりが取り沙汰されている。高齢社会ゆえの〝じいさん、ばあさんヘイティング〟に思える。

〝ばあさんヘイティング〟については拙著『「オバサン」はなぜ嫌われるか』で言及している。そういえば、「好々爺」という言葉があって「好々婆」という言葉がなく、「鬼婆」という言葉があって「鬼爺」という言葉がないのも、年齢についての男女の二重基準と関係がある

関連ブログ「『キレる老人』は増えているか?」


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