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テレビ番組
2015-11-13 | テレビ番組, ブログ

「キレる老人」は増えているか?

今朝の情報番組で、「キレる老人」を取り上げていた。

私は常日頃、ただ単に短気な人も、私利私欲関係なく言うべきことを言っている人も同じように「キレる」と表現することに抵抗を感じているが、さらにそういう高齢者が増えてきているかのような印象を与える「キレる老人」もしくは「キレやすい老人」という言葉もどうかと思う。

そういう高齢者が増えているような気がするのは、高齢者人口、つまりサンプル数が増えたからに過ぎない。

「キレる老人」の例として、スタバなどの店で先に商品を買わずに席に着き、「いったいいつになったら注文を取りに来るんだ!」と文句を言った男性客が挙げられていた。しかしこの客は、店のシステムを知らずにそう言っただけである。「キレる老人」の例としてまったく相応しくない。むしろ、客は店のシステムを知っていて当然、というこういう店の態度の方が傲慢だ。

また、ゲストのノンフィクション作家の経験として、高齢者に取材中、何度も同じ話をするので、「それはさきほども伺いました」と言ったら、相手が怒り出したという例も挙げられた。取材させてもらってるんだから、何度同じ話をされても辛抱強く聞け、と言いたい。

こうした例がいくつか挙げられたあと、あの方が「この問題については、俺の中で答えが出てる!」とまるで教室の小学生のように声を上げ、「認知症で脳が萎縮してるんだよ。脳には油が必要なんだ。油を取ればいいんだ!」と得意気に発言。

あなたの脳ミソこそ油が必要だよ、と突っ込んでいると、スーパーで食料など1000円弱の商品を万引きした男性高齢者のVTRが。これは「キレる老人」問題ではなく、貧困の話ではないか? 案の定そのあと、男性の万引き理由の第一位が「生活苦」で、女性の場合は「高揚感」だという説明が(犯行理由は往々にして誘導されるので、データを鵜呑みにはできない)。

最後にノンフィクション作家が、「老人」が「キレない」ためには社会的に孤立しないことが大事だから、「町内会の活動に参加するなど社会の一員であることを自覚してもらうような施策を行うことが国家的急務」だと発言。

1人で豊かな時間を過ごしている高齢者もたくさんいるのに、「1人暮らしの老人=孤独=キレやすい」という偏見を撒き散らし、国が強制的に町内会活動に参加させろとは。どれだけ恐ろしいことを言ってるんだか。

この流れでは、今後「キレる老人」は治療を施すべき病人と見なされ、収容されるのではないだろうか。全国の頑固おやじ、偏屈おやじ、クレームおばさん(私か)たち、気をつけましょう。

 

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