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大家族モノ
2016-05-12 | ブログ, 大家族モノ

『大家族 石田さんチ』

子どもが成長し、一時は終わりかと思われた『大家族 石田さんチ』が完全復活を遂げた(5月9日放映)。

最近は『痛快!ビッグダディ』『貧乏に負けるな!2男12女ワケアリ大家族(渡津家)』などの〝毒系(これは必ずしも悪い意味ではない)大家族〟の陰で目立たない印象だったが、やはり「家族愛」を謳う〝正統派〟は強い。

離婚や再婚、娘の非婚出産などの「事件」が起こるのが当たり前で、何も起こらないと物足りなさを感じてしまう「ビッグダディ」や「渡津家」と違って、何も起こらなくても満足できるのが「石田さんチ」。むしろ何も起こってほしくないと願ってしまう。

今回はお父さんが脳梗塞で倒れるという「事件」があったが、幸い軽症だった。

末っ子隼司が成人したことで石田家の子育てが終わる、というのが今回の大テーマ。したがって冒頭から隼司ネタが多かった。

まず、成人式の様子。友人たちと揃いの金色の袴姿で、二台のリムジンに分乗して成人式会場へ向かう様は、水海道(茨城県)にヤンキーが健在であることを世に知らしめた。隼司以外の仲間は、みな居眠りしていたとはいえ、式典にきちんと出席しているところがかわいらしい。

隼司は石田家の7人の息子たちの中で間違いなく一番の「悪ガキ」だったが、美容師の国家試験に合格し、就職も果たした。ぎりぎりの成績で合格し、やっと就職できたのかと思いきや、ちらっと映った就職先の会社は、大手の美容グループなのである。配属先の店舗も紹介されていたので、これが四男智広だったら、指名予約して出かけたかもしれない。

そう、私は石田家の息子たちの中で智広が一番好きで、もっと出番を増やしてほしいと思っている。ぜひ智広を主役にすえて番組を作ってほしい。いい人だけど全然面白くない(そこが面白いといえば面白い)長男のダラダラ話より、お父さんの血を最も色濃く受け継いだ智広のキレのあるコメントが聞きたい。

残念なのは、お父さんとお母さんの諍いに関し、息子たちがお父さんの肩を持とうとすること。

長男いわく、「ウチ(自分)は社会に出てるからさ、親父びいきに話を聞くんだ。親父のほうがまともなこと言ってると思うよ」「オカンはずーっと子どもを育ててきてさ、世の中みたいな、常識みたいなのから逸脱したようなところで(中略)育ててきたわけだ」

子育て中の母親が「社会」から逸脱しているという見方は間違っている。「保活」一つ採っても、子育ては社会との格闘なのだ。拙著『オバサンはなぜ嫌われるか』に書いたが、ママ友つき合いや夫の転勤などによって、主婦の社会性は否応なく培われる。

隣に子育て中の妻がいるのに、そんなことを言ってのけてしまう長男こそ、大丈夫か社会性。

そして、そんなことを言われても無反応の妻、洋子さん。お似合いの二人が、一人娘の入学式に参列したところでエンディングへと向かう。

それにしても、長年連れ添った夫からは顔を合わせるたびに罵られ、息子たちからは軽んじられるお母さんは、これでいいのだろうか。お母さんの本音やいかに。

(敬称略)

 

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