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血液型性格診断は「日本の恥」

1216日付当ブログでも触れたが、今夏、松本龍元復興担当相が暴言を繰り返し、大臣を辞任した際、「B型なので短絡的なところがある」と釈明(になってません)。

どこまで無神経な人なのだと呆れたが、これを機にメディアが「血液型差別」に言及してくれたことは、よかった

『朝日新聞』の「声」欄には、「B型に迷惑な松本氏の発言」2011年7月30日)とか、「面接で血液型聞くのは非常識」2011年8月28日)といった真っ当な意見が寄せられた。

血液型を研究し、人種差別に利用しようと考えたのは、ナチスである。

(アーリア人にはA型が、ユダヤ人にはB型が多いとされていた)

ドイツに留学した学者によって血液型性格診断が日本に持ちこまれ、陸軍では血液型と兵士の資質との関連性などが研究された。

1927年に心理学者の古川竹二が論文「血液型による気質の研究」(『心理学研究』)を発表したことで、〈第一次血液型性格診断ブーム〉が起こった。

戦後は、1971年に能見正比古が『血液型でわかる相性』(青春出版社)を出版、〈第二次血液型性格診断ブーム〉が起こり、以後、会話のきっかけとして血液型を尋ねたり、松本元復興相のように失敗の言い訳にしたりということが、当たり前のように行われてきた。(『朝日新聞』「ニュースがわからん!」2011年8月14日)

以下引用> 被災地での態度が問題になり、7月に辞任した元復興担当大臣の「B型だから」との釈明が波紋を呼んだ。

私もそのB型である。性格と血液型の関係に科学的な証明はないけれど、私はB型だということを前向きにとらえ、都合よく解釈してきた。

若いころ、長島茂雄さんもB型と聞いて誇らしく、「長島と同じB型です」と自己紹介に使っていた。嫌なことやつらいことがあっても、「B型なんだから、どうにかなるさ」と楽観的に考える。二十数年前から始めた短歌では、「こんなことで悩んでいたら本物のB型じゃない。B型がすたる」とB型礼賛をうたった。

「B型は勝手気ままに生きている」という烙印を逆手にとって、「わがままなのはB型のせいなのよ」と開き直り、仲間と冗談を言い合っている。

元復興担当相もB型を利用しようとしたのかもしれないが、立場上、あの発言はいただけなかった。

血液型診断は世界的に珍しく、日本独自のものらしい(引用者注・そうでもない)。結構、会話も弾むこの日本の文化、なんともおおらかで私は気に入っている

(『朝日新聞』「ひととき」2011年8月31日)

この投稿者は、血液型がきっかけとなり会話が弾むと考えているようだが、血液型を聞かれることに、正確には、血液型で人を判断しようとする人がいることにストレスを感じる人もいる

なにより、血液型性格診断は、ホロコーストと縁が深い。全然「おおらか」ではない

「日本の文化」というより、「日本の恥」ではないか?

松本氏の「釈明」について、ヨーロッパのメディアは、「失敗を血液型のせいにできるのか?」と、「松本氏の放言よりも、血液型での性格や相性判断が日本ではやっている点に注目して伝え」たという(『朝日新聞』2011年7月13日)。

松本氏は、「日本の恥」を晒したのだ。

血液型性格診断を批判する投稿が掲載された同じ新聞を「B型だから成し遂げた。A型だから極めた。宗教学者が語る世界史の中のA型とB型。O型AB型も必見!」(「成し遂げた」と「極めた」は大差ないと思うのだが……)というキャッチコピーのついた本の広告や、「血液型別相性&つきあい方」を特集した女性誌の広告が飾る。

残念ながら、これからも血液型性格診断は、支持を得続けるのだろう。

※ 血液型性格診断の歴史については、松田薫著『「血液型と性格」の社会史――血液型人類学の起源と展開』(河出書房新社、1991年)が詳しい。

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