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「モンスターペアレント」と「キレる高齢者」

「モンスターペアレント」と「キレる高齢者」のどちらが強いか(ゴジラ対モスラ的な)という話ではない。両者は似ているという話である。

「モンスターペアレント(以下、モンペ)」とは、学校などに理不尽な要求をしてくる親のことで、この呼称は最近10年程で広く社会に浸透した。

自己中心的な大人が増えたためか、はたまた事なかれ主義の米つきバッタ的な教師が増えたためか理由は知らないが、専門家によれば、90年代後半から「うるさい親」が増えてきたらしい。

対象となる親たちがすでに大勢いたからこそ「モンペ」という呼称が広く人口に膾炙したのだろうが、そのせいで学校などに対して真っ当な意見も言いづらくなったという親が少なくない。何か言えば「モンペ」のレッテルを貼られそうだからである。

さて、私が心配しているのは、最近メディアでしばしば取り上げられるようになった「キレる高齢者」というレッテルである。今後、この「偏見」が広まることにより、高齢者が何かを熱く申し立てても、まともに取り合ってもらえなくなるのではないだろうか?

私は、今日歴として存在する「オバサン差別」は、近い将来の「ばあさんヘイティング」の予兆だと捉えており、自分の老後が心配なのだが、それに加えて「キレる高齢者」呼ばわりまでされたら、寿命が縮まりそうである。

最近、朝日新聞紙上で専門家のお墨付きももらった「キレる高齢者」だが、私はあくまで、「それは偏見」という立場を貫きたい。穏やかな老後のために。

過去ブログ)「キレる老人」は増えているか?

図書館史料の切り取り

全国の図書館で学校史が切り取られる被害が多発しているというニュースを見て、思い出したことがある。

拙著『生理用品の社会史』の刊行前、引用した戦前の生理用品広告の出典(雑誌名と刊行年月日)を確認するため、国会図書館へ行ったときのこと。

掲載されているはずの婦人雑誌をいくらめくっても、広告が見つからない。1ページずつ確認しながらめくっていくと、広告が掲載されているはずのページが、きれいに切り取られていることに気がついた。生理用品の広告ばかりが何点も。

戦前の生理用品広告が必要な人なんて、かなり限られている。簡単に足がつきそうなことをなぜ?と思ったが、そのことに気づくのも、その限られた人たちだけなのだ。つまり、バレる確率は極めて低い。だからやってしまったのだろうか?

たしかに国会図書館はコピーの手続きが面倒だし、コピー代も高いのだが、切り取っていいはずがない。

今、古い雑誌は、カウンターの奥の部屋でしか見ることが出来ない。そうなったのは、そういう不届き者のせいなのだ。

「キレる高齢者」という偏見

3月21日の朝日新聞「声」欄に、中学生による「『キレる高齢者』にどう対すれば」という投稿と、高校生による「お年寄りはなぜ病院に集まるの」という投稿が掲載された。

高齢者に限らず「キレる」人は怖いので関わらないに越したことはないし、高齢者が病院に集まるのは病気だからに決まっている。

この二つの他愛ない投稿に、52通の反響が寄せられ、うち4通が4月26日の「声」欄に掲載された。

当然、誰か1人くらいは「高齢者がキレやすいというのは偏見です」と言ってくれるだろう思ったら、なんと4通すべてが「高齢者はキレやすい」という前提で意見を述べていた。

それぞれ、「つらいんです 高齢になると」(73歳女性)、「苦労した私たちを大目に見て」(85歳女性)、「自分失う恐怖との闘いなのです」(74歳男性)、「迫り来る『死』が根底にある」(86歳男性)とのご意見。

これらはすべて主観にすぎないのに、高齢者代表であるかのような語り方はいかがなものか。

今日の朝日新聞「声」欄には、これら4人の投稿に対する、「高齢者がキレるのは、『寂しさ』からではないかと思います」(21歳女性)、「病院に併設のコミュニティスペースがあれば良いのにと思いました。高齢者は出歩く機会が減って、人との交流が少なくなることで、孤立しやすくなります。(中略)一人で抱えるイライラも、共有し合えば穏やかに笑って過ごせるのではないでしょうか」(29歳女性)、「老年期は寂寥感が積もるばかりで、若い世代が楽しく元気に生活しているように思える。だから、若者のちょっとした言動にも激しく感情的な言葉が出てしまうのではないか」(60歳女性)という意見が紹介されていた。

高齢者は寂しい、高齢者は孤立している、高齢者はイライラしている、挙句に高齢者が若者に嫉妬している?

「年をとると性格が丸くなる」とか、「好々爺」というイメージもあるはずなのに、最近は高齢者に対するネガティブなイメージばかりが取り沙汰されている。高齢社会ゆえの〝じいさん、ばあさんヘイティング〟に思える。

〝ばあさんヘイティング〟については拙著『「オバサン」はなぜ嫌われるか』で言及している。そういえば、「好々爺」という言葉があって「好々婆」という言葉がなく、「鬼婆」という言葉があって「鬼爺」という言葉がないのも、年齢についての男女の二重基準と関係がある

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