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図書館史料の切り取り

全国の図書館で学校史が切り取られる被害が多発しているというニュースを見て、思い出したことがある。

拙著『生理用品の社会史』の刊行前、引用した戦前の生理用品広告の出典(雑誌名と刊行年月日)を確認するため、国会図書館へ行ったときのこと。

掲載されているはずの婦人雑誌をいくらめくっても、広告が見つからない。1ページずつ確認しながらめくっていくと、広告が掲載されているはずのページが、きれいに切り取られていることに気がついた。生理用品の広告ばかりが何点も。

戦前の生理用品広告が必要な人なんて、かなり限られている。簡単に足がつきそうなことをなぜ?と思ったが、そのことに気づくのも、その限られた人たちだけなのだ。つまり、バレる確率は極めて低い。だからやってしまったのだろうか?

たしかに国会図書館はコピーの手続きが面倒だし、コピー代も高いのだが、切り取っていいはずがない。

今、古い雑誌は、カウンターの奥の部屋でしか見ることが出来ない。そうなったのは、そういう不届き者のせいなのだ。

マクロン氏の「年の差婚」

フランス大統領選で勝利したマクロン氏についてのテレビ報道。
当初は「へぇ!」と思ったものの、毎回「妻は25歳年上」と説明されると、「またそれか」と言いたくなる。

教師と教え子の関係だった二人の恋愛と結婚は、当のフランスでも注目を浴びたらしいが、女性の若さに重きを置く日本では(女性に対する年齢差別について書いた拙著『「オバサン」はなぜ嫌われるか』)、「イケメンで、大統領になるほどの人が、25歳も年上のオバサンを選ぶなんて」とさらに意外性が大きいのだろう。これが逆に、「元教え子の25歳年下の妻」だとしたら、「ロリコン」のレッテルを貼られるに違いない。

マクロン氏の「年の差婚」は、概ね好意的に受け取られているが、これは、「女性の方が年上で、男性の方が年下だから」という理由だけではなさそうだ。

「年の差婚」については、当ブログでも書いたことがあるが(「年の差婚(その1)看取り」)、女性が年上で男性が年下の「女高男低婚」をした有名人に、ちょっと古いが小柳ルミ子、68歳のときに24歳年下の男性と結婚した漫才師の内海桂子、最近ではやはり二周り年下の男性と結婚した藤あや子がいる。
いずれも女性の方が有名で経済力があるため、「もし彼女たちに経済力がなくても彼らは彼女たちと結婚しただろうか?」と穿った見方をされがちだ。その点、マクロン氏の場合は明らかに異なる。

それにしても、有名人の結婚に際して、女性の方が年上だとわざわざ「姉さん女房」と表現するあたり、まだまだ日本では「男高女低婚」が〝標準〟であり、女性の年齢が高ければ高いほど、奇異の目で見られる

無痛分娩は危険か?

今月、厚生労働省研究班が医療機関に対し、「無痛分娩を行う際には急変時に対応できる十分な体制を整えた上で実施するように」との緊急提言を行った。

研究班によれば、2010年1月から16年4月までに報告された298件の妊産婦死亡例のうち、無痛分娩を行っていた死亡例が13件(4%)あり、うち1件が麻酔薬による中毒症状で死亡、12件は大量出血や羊水が血液中に入ることで起きる羊水塞栓症などだったという。

この提言について、メディアは「麻酔使った『無痛分娩』で13人死亡…厚労省、急変対応求める緊急提言」(『読売新聞』)といった見出しで報じた。

無痛分娩は危険なのだろうか?

現在、無痛分娩は分娩全体の少なくとも5%は占めている。したがって、妊産婦死亡例のうち4%という数字は高いとはいえない。

しかも「無痛分娩による死亡例」ではなく、「無痛分娩を行っていた死亡例であり、明らかに「麻酔」が原因であった例は1件である。

また、この研究班の主任研究者自身が、「無痛分娩で死亡率が明らかに高まるとは言えない」と述べている。

そもそも無痛分娩に限らず、どんなお産でも「急変時に対応できる十分な体制を整えた上で実施するのが当たり前である。

無痛分娩は、高血圧の妊婦や、心肺が弱い妊婦の負担を軽減し、産後の回復も早い。それに何と言っても、「痛くない」という絶対的なメリットがある。

欧米ではむしろ多数を占める無痛分娩が、日本であまり普及しない背景には、「陣痛を経験してこそ立派な母親になれる」といった精神論があるが、なぜ出産の痛みだけが賞賛されるのか、謎である

陣痛は尊くて、帝王切開の痛みはただの痛みなのか。陣痛を経験しないと親になれないなら、男性や養親は永遠に親にはなれないのか。

陣痛についてはもっといろいろ書きたいことがあるが、話が逸れていくので冒頭の「緊急提言」に戻る。医療事故の中でも、麻酔事故の割合は高いので、こうした提言は必要だが、無痛分娩における死亡率が高いかのような印象を与える報道には問題がある。

メディアは、〝痛くないお産〟がもたらす個人的メリット(例えば痛がりの私は、無痛分娩がなければ出産できなかった)や、社会的メリット(少子化解消がメリットであるならば)も俎上に載せてほしい。

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