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オバサン・月経・犯罪

舛添都知事の「女は生理のとき異常」発言について

最近、複数の週刊誌の見出しに、「舛添要一都知事『女は生理のとき異常』の女性蔑視過去」(女性セブン)といった文字が躍っているので調べてみたら、舛添氏はかつてこんな発言をしたそうだ。

「僕は本質的に女性は政治に向かないと思う。(中略)体力の差ということでいえば、政治家は24時間、いつ重要な決断を下さなければいけないかわからない。そのとき、月1回とはいえ、たまたま生理じゃ困るわけです。(中略)女は生理のときノーマルじゃない。異常です。そんなときに国政の重要な決定、戦争をやるかどうかなんてことを判断されてはたまらない」 (『BIGMAN』198910月号)

結論を先に言えば、「女は生理のとき異常」というのは、俗説に過ぎない。

私は博士論文で、この説の信憑性について確かめ、なぜこうしたことが言われるようになったのか、形成過程を探った(ダイジェストはこちら→拙著『月経と犯罪』)。

舛添氏はまた、こんなことも言ったそうだ。

「(マドンナ議員が増えたのは)歴史的な例外の時代であって、だから、女ごときが出てこれる。(中略)あのオバタリアンは全部、〝あがった〟人ばかりなんでしょう」(同上)

月経時の女が異常なら、〝あがった〟女は正常なのではないだろうか?

ちなみに石原慎太郎氏も「女性が生殖能力を失っても生きてるってのは、無駄で罪」と言っていたので、この二人の女性観はかなり似通っている。

日本では明治以来、月経時の女は異常だということが、繰り返し唱えられてきた。

月経時に頭を使うと脳を傷めるとも言われていたし、犯罪や自殺に走りやすいとも言われていた。

医者や教育者は、月経時の女学生にはテストを受けさせるなと説き、女が犯罪を犯すと、刑事や検事が「おまえはそのとき、月経ではなかったか?」と聞き、女が「そうです」と答えると、減刑されたり無罪にされたりした。

逆に、月経であったがために、殺人犯の汚名を着せられた女性もいる(甲山事件)。

2014年現在、「女は生理のとき異常」という発言は「女性蔑視」と見なされ、週刊誌のネタにされている。

しかしこれは、女性は政治家に向かないという文脈の中で語られているために批判されているが、これを例えば女性ジャーナリストがワイドショーなどで女性容疑者を擁護する際に口にした場合、おそらく批判されない。それどころか、真に受ける人続出であろう。

今日では(正確には70年代以降)、女が精神に不調を感じたり、仕事でミスをしたり、犯罪を犯したりするのは、「月経前症候群(PMS)」とからめて「月経前」であると説明されている。

月経前にイライラしたり、落ち込んだりする女性が現に存在することは否定しないが、メディア(とくにNHK『あさイチ』)による「月経前症候群」についての情報は、かなり雑だし極端だ。

「月経前症候群」の話題に象徴されるような、「ホルモン」をキーワードに女性の言動を解釈しようとする最近の風潮の背景には、社会の保守化があろう。

「強い男」と「子どもをたくさん産む女」を作るためには、性別役割分業を強化する必要があり、そのためにはホルモンによる男女差の説明が有効である。

ホルモンの影響には抗えないのだとしたら、「役割」に準じた方が楽に生きられる。

 

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