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オバサン・月経・犯罪

生理用品の歴史

日本の生理用品の歴史について、最も正確で詳しい本をまとめたいという念願が叶いました。

ミネルヴァ書房の担当編集者さんが考えてくださった書名とキャッチコピーは、

『生理用品の社会史――タブーから一大ビジネスへ』

「知られざる日本独自の発展史を描く。ナプキン以前、ナプキン以後、女性は、日本社会はどのように変わったのか」

そうなのです。日本の生理用品は、「独自の発展」を遂げてきたのです。

つい半世紀前まで、日本では「月経不浄視」が支配的で(今も「月経不浄視」に基づいた慣習が、各地に残っています)、生理用品は日陰の存在でした。

本書第1章では、ナプキンが登場する以前、女性たちがどのような経血処置を行っていたかについて、書いています。(詳しくはこちら

この「月経不浄視」。自然発生的に生じたと考えられてきましたが、少なくとも日本については、ある目的をもって「輸入された」という見方が、最近、主流となっています。

本書第2章では、 「血の穢れ」の起源、月経不浄視の目的、月経小屋をはじめとする月経禁忌の慣習についてまとめ、実際に月経小屋を使用した方々の貴重な体験談も紹介しています。

また、以前にこのブログでも書いたことがありますが、ショーツにペタッと貼るタイプのいわゆる「使い捨てナプキン」は、50年前、当時27歳の主婦、坂井泰子が「女性の生活をもっと快適にしたい」という一念から、作り出したものです。

坂井泰子と高原慶一朗(ユニ・チャーム会長)の好対照が、ナプキンの発展を軌道に乗せたといえるでしょう。

坂井泰子が生み出した「アンネナプキン」のデビューと引退については、第3章にまとめました。

第4章では、今日の使い捨てナプキンの性能と、使い捨てであるがゆえの問題点に触れ、愛用者を増やしつつある「布ナプキン」に注目しました。

無責任な「使い捨てナプキン有害論」や、使い捨てナプキンの「功績」を無視した「布ナプキン信奉論」については、批判をしています。

ほかに、生理用品や月経をめぐる議論について、できるだけ言及しています。

例えば、月経を「生理」と呼ぶことの可否、経血は「汚物」か否か、「月経不浄視」と「経血不潔視」の混同について、など。

執筆中、あらためて感じたことは、女性と生理用品をめぐる環境には、その社会の月経観や女性観のみならず、政治や経済も反映されるということです。生理用品は、社会を計る指標といえます。

生理用品の歴史について、少しでもご関心がおありの方、拙著を書店で見かけましたら(昨日、書店を覗いたら、ビジネスコーナーに積んでありました)、お手にとってパラパラとめくってみてください。明治、大正時代の月経帯の広告、アンネ社の広告、生理用品関連年表なども載っています。

 

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