2011-11-06
NHK『使命と魂のリミット』前編
NHK土曜ドラマスペシャル『使命と魂のリミット』前編。
主人公、夕紀(石原さとみ)は、心臓外科医として高名な西園(舘ひろし)のもとで、研修医として働いている。
夕紀の父親(永島敏行)は11年前、西園の執刀で亡くなっており、夕紀はその死に疑問を抱いていた――
父親の死にこだわり、医師を目指す。
フィクションにありがちな設定だが、非現実的だとは思わない。
身内の死にこだわることは、人間だけにできることである。
不器用な生き方かもしれないが、本人が満足なら、それでいいのだ。
それにしても、ドラマや映画に登場する心臓外科医は、みなカッコいい。
17年前、私が出会ったその心臓外科医も、非の打ち所がないくらい見た目がカッコよかった。本物なのに。
手術直前まで元気で、「あくまで予防的な手術」を受けたはずの祖母が、術後一度も意識が戻らないまま亡くなった。
納得がいかなかった私は、執刀した心臓外科医にアポをとり、説明を聞きに一人で病院へ行った。
そのとき言われたことで、今も鮮明に覚えている二つのこと。
「あなたのおばあさんは亡くなったけど、私に手術してもらえて、満足しているはずだ」
「わたしはあの世を信じている。あなたのおばあさんは、あの世で幸せに暮らしている」
「あの世」の幸せを信じている人に、命をまかせてはいけない。
医師は24歳の小娘を前に、最初から不機嫌だった。
早くオバサンになりたい!!!と切実に思った。
その医師は翌春、別の大学病院へ移った。栄転である。
祖母のことも、私のことも、まったく覚えてないだろう。
でも、私は忘れない。
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