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2017-05-28

「モンスターペアレント」と「キレる高齢者」

「モンスターペアレント」と「キレる高齢者」のどちらが強いか(ゴジラ対モスラ的な)という話ではない。こうしたレッテルについての話である。

「モンスターペアレント(以下、モンペ)」とは、学校などに理不尽な要求をする親のことで、この呼称は最近10年程で広く社会に浸透した。

自己中心的な大人が増えたためか、はたまた事なかれ主義の教師が増えたためか理由は知らないが、専門家によれば、90年代後半から「うるさい親」が増えてきたらしい。

対象となる親たちがすでに大勢いたからこそ「モンペ」という呼称が広く人口に膾炙したのだろうが、そのせいで学校などに対して真っ当な意見も言いづらくなったという親が少なくない。何か言えば周りから「モンペ」のレッテルを貼られそうだからである。

さて、私が気になっているのは、最近メディアでしばしば取り上げられるようになった「キレる高齢者」である。

ある情報番組では、「人は年をとるとキレやすくなる」という前提に、出演者の誰も疑義を呈することなく、「そういう人にはどう対処したらよいか」という方向へ話が進み、恐ろしいことに、この問題に詳しいという作家が「町内会の活動に参加するなど社会の一員であることを自覚してもらうような施策を行うことが国家的急務」だとまとめていた。

これだけ話題になっているのだから、実際「キレる高齢者」は増えているのだろう。調べてみると、「キレる」原因として「社会的孤立」や「老化による前頭葉の萎縮」などが挙げられているが、実態は、そういう人はどうしても目立つし、高齢者人口そのものが増えているため、そういう高齢者も増えているというだけのことではないだろうか。

たしかに、認知症などの影響で異常なキレ方をする高齢者はいる。一緒に生活をしている家族の負担は大きく、医療的、社会的介入が必要なケースもあるが、それはまた別の話である。もちろん「町内会活動への参加」などでは解決しない。

町内会活動にケチをつけるわけではないが、将来、自分が何かの拍子で「キレる高齢者」と見なされ、参加を強制されるなどというのは、絶対に御免だ。

今後、「キレる高齢者」というレッテルが普及することにより、高齢者が何かを熱く申し立てても、世間はまともに取り合わなくなるのではないだろうか。このレッテルは、〝物申す層〟といえる団塊の世代に対する口封じ的な役割を期待されているような気がする。

ちなみに、単に中高年女性を指す言葉にすぎなかった「おばさん」という言葉も、今や「図々しい人」「恥を知らない人」の代名詞となってしまった(おばさん→オバサン)。これは、ある時期(1990年前後)集中的に、一部の目立つ中年女性たちにレッテル貼りが行われた結果である。

私は、今日れっきとして存在する〝オバサン差別〟は、近い将来の〝ばあさんヘイティング〟の予兆だと捉えており、自分の老後が心配なのだが、それに加えて「キレる高齢者」呼ばわりまでされたら、寿命が縮まりそうである。

過去ブログ)「キレる老人」は増えているか?


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