『石田さんチ』と『ビッグダディ』
12月28日放送の『7男2女11人の大家族 石田さんチが大騒ぎ!~2011年家族の絆~』(日本テレビ)は、石田家らしい安定した内容だった。
1997年に始まり、今回で28回目。末っ子はすでに高校生。
上の兄たちは独立し、新しい家庭を築き始めている。
9人の子どもを産み育てた石田夫妻の、人生の「収穫期」を観ているようだった。
前々回の当ブログに、「子どもが成長しても『大家族モノ』は成立するのか?という実験のようでもある」と書いたが、今のところ実験は成功している。
『石田さんチ』の場合、別れた元妻が別の男との間にできた三つ子を連れて現れ復縁を迫る、とか、娘が第一子を育てられず施設に預けている状態で再婚、妊娠するといった「事件」は起こらない。
だからこそ幅広い支持を得られる、稀有な「大家族モノ」である。
以前、ある「大家族モノ」の「やらせ」が問題になったが、「やらせ」でもここまで劇的な展開はなかろうと思わせてくれるのが、『痛快!ビッグダディ』(テレビ朝日、1月4日放送)である。
5児の母、美奈子さんとの再婚を「嫁の入れ替え」と見なされ、奄美大島の大棚地区に住み続けることができなくなったビッグダディ(林下清志さん)。
たしかに、妻子を残して出稼ぎ中だった夫が、そこで出会った若い女と再婚したとなれば、元妻への同情から、夫に非難が集中するのは必至。
しかし、ビッグダディの場合、大棚地区のみなさんこそ非難したものの、美奈子さんとの新しい家庭を応援する声のほうが大きいのではないだろうか。
男をつなぎとめるための妊娠はしても、産まれてきた子どもを育てる気がほとんどない前妻は、どうしたって分が悪い。
それになにしろ、ビッグダディの子どもたちが、美奈子さんを歓迎している。
今回も期待にたがわず、ビッグダディの食卓は、愛と工夫にあふれていた。
庭でのピザ作りに、家族総出(ではないのだが、十分にそう見える人数)のお餅つき。
こうした家族団欒に水をさしていた元妻に対し、笑顔で加わる美奈子さん。
美奈子さんは夫婦喧嘩のときは「元ヤン」丸出しで怖いのだが、心根の優しい人と見た。
今回の放送では、ビッグダディの新しい家族を崩壊させようと、陰で糸を引く元妻の陰謀(そう理解しました)が描かれており、今後の波乱が予想された。
一視聴者として、新しい家族の幸せを祈らずにはいられない。
ビッグダディには長生きしてもらい、ぜひ「収穫期」を味わっていただきたい。