ワケアリ(?)大家族「渡津家」
2011年12月28日付当ブログ「年末年始は『大家族モノ』(?)」で触れた『貧乏に負けるな!2男12女16人 ワケアリ大家族』(テレビ東京)の第8弾、3時間スペシャルの放送が、昨日あった。
http://www.tv-tokyo.co.jp/daikazoku/
「ワケアリ大家族」ということになっているが、本当に「ワケアリ」なのは、第一子を児童福祉施設に預けたまま再婚し、第二子を出産した三女くらいである。
この三女のインパクトが強すぎて、前述のブログに、まるで渡津家の子どもたちがみな「ヤンキー」であるかのような書き方をしてしまったが、看護師として働いたり、働きながら定時制に通ったり、小さい妹たちの面倒を見たりと、ほとんどが真面目で素直な子どもたちである。
今回の放送でも、三女は第一子を引き取らず、まるで存在しないかのように第二子を連れて実家を訪問。妹(七女)が産んだ赤ん坊を「かわいいー!」と抱く。
自分の子どもを抱いてほしい。
この三女に今回ついたキャプションは、「バツ2の三女が家出 離婚の危機 父母激怒」。
彼女の場合、危機は「離婚」にあるのではなく、安易な「結婚」にあると思うのだが。
父親は、三女夫婦に、第一子を早く施設から引き取るようにと諭すが、ここははっきりと「第一子を引き取るまでは避妊しろ」と言ってほしい。
それとも、渡津家の辞書に「避妊」の文字はないのか。
今回は、高校受験生の長男(と言っても上から8番目)にも密着。
母親から勉強しろと言われても、家に勉強する場所はない。
それでも長男は無事、入試に合格。
長男から合格の報告を受けた母親は、カメラに向かって「よかった。落ちるかと思ってた。みんな落ちるって言いよったんよ」とコメント。
それはおそらく、まわりの常識的な大人たちが、「母親として少しは協力しないと、息子さんが可哀想ですよ」という意味で言ったのではなかったか?
一方、父親は長男に、「渡津家の長男なんだけ、お前が今度、渡津家を背負っていかにゃいけんのだけ。そこをしっかりしてくれよ」。
背負えません。
知的障害のある五女が、今回、初登場。
キャプションは「障害をかかえる五女 涙の成人式」。
誰も泣いていなかった気がするが。
五女は自立し、実家の近くで一人暮らしをしている。
自分で貯めたお金で、成人式のために5万円のスーツを買っていた。
それなのに、番組の差し金か、直前になって母親から、レンタルの着物を着るようにと勧められる。
五女はスーツがいいと言っているのに、しつこく迫る母親。
結局、五女はスーツで成人式に出席することにしたのだが(観ていてホッとした)、「スーツじゃ可哀想」とばかりに「ワケアリ三女」がやってきて、ヘアメイクをほどこす。
当然、三女のセンスに仕上がってしまったのだが、五女は「ありがとうございます」と素直に感謝。
彼女は、自分の意志でスーツを選んだのに、ナレーションは「成人式に着物は着れ(ママ)なかったけど~」と価値観の押し付け。
引っ張りに引っ張った「17歳の美人七女 出産で大ピンチ」も全然ピンチではなかった。
それにしても、不謹慎なキャプションである。
ついでに言えば、「貧乏に負けるな!」というキャッチコピーもどうかと思う。
貧乏自体は悪くないが、「貧乏」という言葉は、自虐的に使うことはあっても、他人に使うべきではない。
自立心や協調性をそなえた渡津家の子どもたちには、もっとふさわしいキャッチコピーがあるはずだ。