「欲望に負けるな!」大家族 渡津家
『貧乏に負けるな! 2男12女16人 ワケアリ大家族』(テレビ東京)第9弾。
渡津家は、人数は多いが、クローズアップされるメンバーは限られている。
まず両親。
ほとんど主役の三女(当ブログ「ワケアリ(?)大家族『渡津家』」に書いたが、渡津家で本当にワケアリなのは、この人くらい)。
最近、素行が悪くなったとされる高校1年生の長男(と言っても上から8番目)。
父親は、10人の子持ちなのに「3人」と偽っていた母親と結婚し、その後、4人の子どもをもうけた。
スーパーで惣菜を作りながら、家計を支えている。
夏は、撮影中でもトランクス1枚(いつか局部が見えてしまうのではないかと心配していたら、ついにボカシがかかった)。
「のう」「こら」ときどき「ボケ」で、意思の疎通を図る。
楽しみは「酒とつまみ」。酒は発泡酒。
なんて欲のないささやかな楽しみなのだろうと感心していたら、母親は、家族と過ごす時間よりも、一人の時間を優先していると、不満タラタラ。
「土日も仕事。休みの日は寝てるだけ。母子家庭状態だもん」
「よその父親だって疲れてるけど、休みの日は子ども連れて出かけてるよ」
14人産んでおいて、ほかの家と比べるな。自分が働いて、子どもと外出しろと言いたい。
祖母(母親の母親)の「全部、お父さんのおかげ」という言葉だけが救い。
夏休み中の高1長男は、連日、深夜まで帰宅しない。
姉妹ばかりの家に居場所がなく、自室を持たせてやりたいが、一人だけ特別扱いはできない、と語る両親。
おそらく彼は、撮影スタッフがいるから帰って来ないのでは……?
そしてワケアリ三女。
児童福祉施設に第一子を預けたまま、再婚して第二子を出産。
今回の放送では、第一子を引き取り、一緒に暮らしていることを期待していたが……。
なんと第一子を施設に預けたまま、第三子を妊娠していた。
三女夫婦は、「貧乏」ではなく「欲望」に負けている。
それなのにナレーションは、三女について「2度の離婚のあとも、娘と暮らしたいと頑張りますが……」。
お母さんについても、「14人もの子どもを育てた」と持ち上げる。
映像とナレーションのギャップがすごい。
栃木の看護学校に通っていたはずの六女が、いつの間にか家に戻ってきていた。
真面目に勉強し、夢を叶えたいという思いを挫く何かがこの家庭にあるのだとしたら、制作者はそこを可視化してほしい。