『おしん』を観て泣く
今月はじめにBSで『おしん』の総集編が放送され、全297話の再放送も始まった。
『おしん』は小林綾子演じる子ども時代が圧倒的に面白いと思うので、少なくともそこだけはしっかり観ようと、総集編ではなく再放送を録画。観始めた。
初めて『おしん』が放送されたときは中学生だった。
友だちに「『おしん』は面白いよ!」と勧めたこともあるが、あまり興味を示さなかったので、当時の中学生が皆、私並みに熱心に観ていたわけではなさそうだ。
さすがに30年前のドラマなので、セットやヘアメイクなどは現代に比べて劣るが、制作者側の「気迫」のようなものが伝わってきて、細部は気にならない。
小林綾子の演技も現代の「天才子役」たちには及ばないが、おしんは朴訥であればよい。さらに脇役の俳優たちがすばらしく、子役の演技を補って余りある。
これまでのところでは、おしんの奉公先の女中で、おしんを苛め抜く「おつね」を演じる丸山裕子。あまりの迫力に、この人の存在だけでも十分に「奉公は辛い」ということが伝わってくる。
奉公先のおかみさんを演じる今出川西紀(いまでがわにしき・すでに引退)も、おしんやおつねとの距離感の表現がよい。おしんが学校へ通うことに最初は反対するが、その後は理解を示し、反対しつづけるおつねを諌めるのだが、その心象の変化を自然に演じる。
家族のために7つ(数え)で奉公に出るおしん。
父親(伊東四郎)が舟代を節約したため、いかだで冬の川を下るおしん。
雪が降る中、川で赤ん坊のおむつを洗濯するおしん。
学校へ通う子どもたちが羨ましくて教室を覗くおしん。
子守りをしながらでいいからおしんを学校へ通わせてほしいと奉公先の主人に頼む「中川先生」。
おつねに「学校へ通うなら昼飯ぬき!」と言われ、それでも「学校さ行きてえ」と通うおしんに、芋を分け与える中川先生。
中川先生の教えに応えようと、川原で洗濯しながら「ア・イ・ウ・エ・オ!」と復習するおしん。
同級生たちに「奉公人の分際で学校へ来るな!」と乱暴され、背負う赤ん坊に危害を加えられることを恐れ、通学を諦めるおしん。
それでも覚えたカタカナで、一晩かかって家族に手紙を書くおしん。
おつねの財布から金を盗んだ疑いをかけられ、奉公に出るとき「ばっちゃん」からもらった大事な50銭を取り上げられるおしん。
頑張れ、おしん!!
最後まで応援したいが、小林綾子と、無駄に色気のある田中裕子のギャップについていける自信がない。
(文中、敬称略)