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2013-03-01

生きていればピカピカの1年生

大阪市東住吉区に住民登録のある女児が、出生直後の2006年5月から行方不明になっている事件。

母親が賃貸契約しているマンションから、女児と見られる遺体が発見された。

母親によれば、出産し、病院から帰宅する途中、女児を殺害したという。

女児は夫の子ではなく、「この子は生まれてきちゃいけない子だった」と話しているとか。

自分で産んでおいて「生まれてきちゃいけない」って……。

2007年に熊本市の慈恵病院が「望まれない赤ちゃんを殺害と中絶から守ること」を目的に「こうのとりのゆりかご」を設置した際、賛否両論あったが、当時首相だった安倍晋三は、「まずポストという名前にたいへん抵抗がある」「子どもを産むからには親として責任を持ってもらうことが云々」と反対意見を述べている。

「赤ちゃんポスト」というのはメディアによるあだ名であり、正式名称はあくまで「こうのとりのゆりかご」。

親として責任を持てる人ばかりが妊娠するわけではないことは、考えるまでもなく明白。

ほかに、「新生児の死体遺棄は年間数件にすぎない」という反対意見もあった。

しかし、今回の事件もそうだが、乳児を殺害することも遺体を遺棄することも(作業としては)簡単であり、見つからなければ「遺体」にカウントされない。

そして就学時期になってはじめて、その子が存在していないことが発覚する。

2006年5月に生まれた子どもは、生きていれば、今春小学1年生。

今頃は、ピカピカのランドセルを買ってもらい、小学校生活に胸をふくらませていたはず。

まったく成長できないまま、押入れのバッグの中で腐敗していたなんて。

こんなに哀しいコントラストがあるだろうか。

 

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