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2011-11-17

TBS『孤独死ドキュメント…生と死を見つめて』

TBS『スパモク!! 孤独死ドキュメント…生と死を見つめてスペシャル』。

一昨年夏に亡くなった女優の大原麗子が、生前、整理していたスクラップブックが、一部公開されていた。

スクラップした記事には、彼女の赤裸々なコメントが書き込んであり、彼女のイメージとは程遠かった。

おそらく大原自身は、公開する気などまったくなかったのだと思う。

大原麗子が「孤独死」したことよりも、死後、彼女の意思を尊重する人がいないことのほうに、より「孤独」を感じた。

同番組は、かつてTBS『クイズダービー』の解答者を務めた、篠沢秀夫の日常も取り上げていた。

篠沢は、ALS(筋萎縮性側索硬化症)を患い、妻の献身的な介護を受けている。

病気も介護もたいへんだが、夫婦愛で乗り越えられる、とまとめられていた。

ところで、当ブログ1111日付「年の差婚(その1)看取り」で触れたのだが、日本では妻が夫を看取ることが多く、これが逆転し、夫を看取るつもりでいた妻が看取られる側になってしまうと、そこには遠慮が生じてしまう。

上野千鶴子は『おひとりさまの老後』(法研)の「女はお世話する性か?」という項で、立岩真也著『ALS――不動の身体と息する機械』(医学書院)について、次のように紹介している。

以下引用> ALSは全身の筋肉が動かなくなっていく治療法のない難病で、いずれは呼吸困難におちいる。そのとき、人工呼吸器をつけて延命するか否かを選択しなければならない。「延命」を選べば、気管切開を行うために声を失うだけでなく、24時間人工呼吸器につながれることによって常時介助が必要になる。立岩さんのレポートによると、この「自己決定」を行うひとに男女差があるという。呼吸器をつけるのは、圧倒的に男性患者が多いのだ。(中略)

男には選べるこの選択肢が、女にはぐんと少なくなる。それが人工呼吸器をつけて生きのびているALS患者の男女差に結びつくのだという。となると「お世話する性」として生まれたことは、生命にもかかわることになる。

篠沢はALSを患いながらも、翻訳の仕事を続け、軽井沢の別荘へ出かける。

夫婦愛のなせる業である。

しかし、夫婦愛だけでは無理だ。人手と、それを頼む経済力も必要だ。

「格差」は社会のあらゆるところに見受けられるが、難病を患ったとき、その差が最も顕著に表れるのかもしれない。

(文中、敬称略)


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