toggle
2013-06-30

ホームレス襲撃はこうして起こる

区内の小学校からときどき、「不審者情報」なるものがメールおよび文書で伝えられる。

こうしたことは、いまや全国的に当たり前のように行われている。

「不審者」に目を光らせ、情報を共有することは、「事件」を未然に防ぐために必要なことだが、過剰な反応は、子どもたちにとっても地域住民にとっても、有害ではないだろうか。

数ヵ月前、「電車の高架下で暮らすホームレスが、登校中の小学生に『学校、行かなきゃね』と声をかけてきた」という「不審者情報」が伝えられた。

「学校、サボっちゃえ」ではなく、「学校、行かなきゃね」である。子ども好きのホームレスが思わず声をかけた、という印象を持った。

「不審者」の定義って一体……?

1ヵ月ほど経って、小学校主催の「セーフティ教室」に参加した。

前半は、警察署の広報課の人が、「連れ去り」について、子どもたちに話をした。

「変なオジサンに気をつけよう」「変なオジサンについて行かないように」と、不審者を「変なオジサン」に限定。

途中でご本人も気づいたらしく、「オジサンとは限らないね。オバサンかもしれないね」。

おにいさんもいれば、おねえさんもいるかもしれない。実は一番、気をつけなければならないのは、子どもたちが最も警戒心を持たない相手、「制服の人」≒「おまわりさん」かもしれない。

用事があったので、途中で帰宅。

後日、最後までいた人に聞いたところによると、後半の話題は、数ヵ月前の「不審者情報」にあったホームレスだった。

保護者から、何とかしてほしいという要望があり、警察署の人が、「あのホームレスは○○といいまして云々」と名前を公表(しかも呼び捨て)、「来週、撤去の予定です」と話したという。

名前を公表?! 人間に対して「撤去」という言葉を使う?! と驚いたが、これについてその場にいた誰からも指摘がなかったというので、2度驚いた。

ホームレスを「撤去」の対象と捉える社会であれば、寝ているホームレスに火をつける中学生がいても、集団で襲う若者がいても、不思議はない。

そういえば以前、同性愛者が襲われる事件が相次いだが、これも根は同じである。

校長先生は「ホームレスの方」と仰っていたというので、まだ救われた。

教育現場では、人権を疎かにしてほしくない。

国語や算数の勉強はあとでいくらでも取り返せるが、人権意識は丁寧に育まないと、取り返しがつかない。

練馬区で、下校中の小学生がナイフで切りつけられるという事件が起きた。

残念ながら、こういう事件は今後も起こるだろうから、対策を怠ってはならない。

しかし、対策と称して、間違った方向に力が入れられそうで、イヤな予感がする。

 


関連記事