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2014-04-24

松本侑壬子『母娘の風景』

映画評論家、松本侑壬子さんの著書『母娘の風景』(論創社、1988年)を読んだ。

松本さんの新聞記者時代の連載記事をまとめたものである。

最近の、成長後の娘が自分を育ててくれた母親の欠点をあげつらい、批判するという風潮を気持ち悪く感じていた私は、期待を持ってこの本を読んだ。すると期待以上の発見があった。

この本には松本さん母娘を含め、10組の母娘が登場するのだが、いずれも有名人ばかり。

桐島洋子・かれん母娘、小林照子・浩美母娘、吉行あぐり・和子母娘、加藤シヅエ・タキ母娘、津島佑子、高野悦子、伊藤ルイ、生方美智子、丸岡秀子(敬称略)。

新聞連載時が1986年とあって、すでに鬼籍に入られた方もおられ、女性史を読んでいるようだった。

しかも、思わず何でも話したくなってしまう同年代の女性記者に、本人が直接語っているのだから、貴重な一次史料である。これをもとに伝記が書けるのでは?と欲が出た。

書名からはわからない貴重な本が、まだまだ存在するのではないかと思わせる1冊だった。

ところで、私が最近の母親批判を気持ち悪く感じる理由は、虐待を受けたというのなら話は別だが、母親も人間なのだから欠点や過ちがあって当然なのに文句を言うな、というのが1割。(とくに母親の過保護を批判するのは筋違い。その過保護があったればこそ、今、好き勝手を言える「権力」を手にしているという点は否めないはず)

そして、母親批判に限らないが、公に発言できる手段(権力)をもつ人(つまり有名人)が、反撃の手段をもたない人を一方的に批判するのは卑怯だというのが9割。

そういう人たちは結局、いい年をしてまだ母親に甘えているのだ。

 

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